テーマ:ダイバーシティ, ハラスメント対策, 組織マネジメント

 

”良かれ”が裏目に

昨今声高に叫ばれている女性活躍推進は、ダイバーシティ経営への第一歩です。

でも、その第一歩さえもなかなかうまく進まないものですね。

男女雇用機会均等法前から積極的に女性活躍推進をしている、とある日本の大手メーカーでさえ、
第一歩を踏み出した頃にはこんな事件(?)がありました。
当時、北米の販売子会社(販社)への輸出業務を担当するその課は、
リーダー1名、メンバー2名のチーム制を組んでいましたが、
あるとき、リーダー(Aさん、男性)が1ヶ月の集中英語研修を受けることになり、
メンバー2名(Bさん・Cさん、共に女性)が留守を守ることになりました。

リーダーとメンバーの業務分担はあるものの、日頃から販社とのメールのやりとりはもちろん、

事業部の製品情報や業務プロセスも全て3人で共有しているので、基本的な心配はありません。

透明性ある情報共有はダイバーシティ推進の基本です。

 

研修前日、Aさんは、販社側カウンターパート(マネージャーの日本人Dさんと3名のアメリカ人女性チームメンバー)に、

自分の不在中BさんとCさんが全てを担当するのでよろしく、というメールを出しました。

ただ、最後に一言、こんな文章を付け加えてしまったのです。

「However, if any significant matter happens, please don’t hesitate to call me directly,
since they (BさんとCさん) are just pretty girls.」

(直訳すると「しかしながら、もし何か重大な事態が発生した場合、彼らはただの可愛い女の子たちなので、
遠慮なく私に直接電話してください」)

受け取った販社側は、いきなり炎上。。。

 

価値観の違いを意識する

日本では、「女の子」という表現をつい使ったり、軽い褒め言葉のつもりで「可愛いね」と言うこともあるかもしれません。

しかし欧米では、女性社員を「Girls」と呼ぶのは一人前と見做していないと思われ、
ましてや容姿評価と受け取られかねない「Pretty」はセクハラリスクをはらみます。

おそらくはAさんの親心からぽろりと出た言葉かもしれませんが、
それを女性蔑視と受け止めて激昂したアメリカ人女性たちに詰め寄られ、
Dさんは研修初日のAさんに緊急国際電話をかけるはめに陥ったのでした。
セクハラ発言は、それを受ける本人のみならず、横で聞いている周りの人にも配慮する必要があります。
グローバル化の進展に伴って様々な文化的社会的背景を持つ国内外の社員が増え、
また同じ日本人でもその考え方や感受性が多様化している中、
自分の言動が思いもよらない受け止め方をされる可能性を踏まえ、誤解のないコミュニケーションに努めましょう。

…というところまでは、賢明なる読者の皆様には言うまでもないと思います。

さらにここで、もう一歩進んで考えてみましょう。

 

 その先にあるものー無意識の偏見の打破

AさんはなぜPretty Girlsと言ってしまったのか。

無意識の底に、メンバーを若造扱いし、

未熟な部下には任せられない、不測の事態に的確に対処出来るのはやはり自分しかいない、

という気持ちはなかったでしょうか?

部下に任せると言いながら、つい過保護になりすぎていることはありませんか?

何気ないその一言が、相手の成長にブレーキをかけているかも知れません。

そこに気づき、意識してメンバーの潜在力発揮を心がけることが、真のダイバーシティ経営の第一歩です。

 

DLAでは、上記のように実際に現場で起きた事例を用いた、
真のダイバーシティ経営のための女性活躍推進、リーダーシップ研修を提供しています。

ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。